生命保険「配当と解約返戻金」を知ろう
配当
以前の記事の“リスクに備える「生命保険」を知ろう”で説明したように、保険料は以下で決まります。
保険料は、契約者が支払う保険料の総額とその運用益の収入と支払わられる保険金の総額と保険会社の保険事業にかかる経費の支出が同額になるように決められます。
保険料は契約時に決まりますが、保険期間は長期間にわたるので予想とズレが生じます。
収入が支出より大きくなると、その収入と支出の差額が配当として契約者に支払われます。
支出が収入を上回っても、その差額は契約者に請求はされません(外貨建て貯蓄型の保険は減額することがあります)。
配当金の受取方法
配当金の受取方法は、契約時に決めますが、保険の種類によっては受取方法が決まっている保険もあります。
配当は、以下の方法で受け取ることができます。
- 配当金を積み立てておき途中や満期で受け取る「積立」(積立中は利子がつきます)
- 配当金を一時払いの保険料として保険金を増やす「買増」
- 配当金を保険料から差し引き保険料が安くなる「相殺」
- 配当金を現金で受け取る「現金支払」
平成初期は予定利率も3%〜5%と高く年間支払保険料の数%が配当として支払われました。平成20年後半は1%ぐらいに下がり、28年には1%を下回ってきました。
利率が低いので収益も少なく、配当金は少なくなる傾向にあります。
配当金と税金
配当金の受け取り方により税金のかかり方に違いがあります。
- 配当を現金あるいは保険料から差し引く場合は、保険料控除が配当金分少なくなります
- 保険金と配当を一緒に受け取ると保険金と配当の合計額に税金がかかります
解約返戻金
解約返戻金は、保険契約を解約したときに戻ってくるお金です。
解約すると、それまでに払い込んだ保険料全額でなく、通常少なくなります。
解約返戻金の計算方法
解約返戻金は、以下で計算します。
- 払込済み保険料の総額を集計
- この額から解約までの期間の保険会社の経費の差引き
- さらに、解約までの保障部分(純保険料)の差引き
- この額に配当金を加えた額が解約返戻金
定期保険の解約返戻金
満期保険金のない定期保険の解約返戻金は、ごく少額かゼロの場合があります。
保険期間の終了時(満期)に近づくとゼロになります。
定期保険の解約返戻金はないものと思うのが良いでしょう。
解約すると解約返戻金がほとんどなく、保障もなくなるので定期保険の解約は避けるべきです。
終身保険
終身保険は掛け捨てでなく保険金が必ず支払わられるので解約返戻金はそれなりの額になります。
35歳男性、65歳保険料払込満了、終身保険金1,000万円、月額保険料21,730円のケースでの解約返戻金の例は以下になります。
返戻率は解約返戻金を払込保険料の合計額で割った100分比です。
- 10年後(45歳)は2,220,000円で返戻率は約85.1%
- 20年後(55歳)は4,758,000円で返戻率は約91.2%
- 30年後(65歳)は7,701,000円で返戻率は約98.4%
- 40年後(75歳)は8,516,000円で返戻率は約108.8%
- 50年後(85歳)は9,203,000円で返戻率は約117.6%
保険料の払込期間をすぎると返戻率は100%を超え、老後資金としても活用できます。
利率が下がっていますが、解約返戻金の額は契約時で決まりいつ解約しても決まった額が支払わられます。
逆にインフレになり利率が上がっても解約返戻金は増えません(利率が上昇する分返戻金が増えませんが、解約が遅くなると金額は増えます)。
養老保険
養老保険は掛け捨てでなく保険金が必ず支払わられるので解約返戻金もそれなりの額になります。
30歳女性、10年満期、満期保険金100万円、月額保険料7,837円のケースでの解約返戻金の例は以下になります。
- 1年後(31歳)は86,700円で返戻率は約92.2%
- 3年後(33歳)は273,270円で返戻率は約96.9%
- 5年後(35歳)は468,810円で返戻率は約99.7%
- 7年後(37歳)は673,740円で返戻率は約102.3%
- 10年後(40歳満期時)は100万円で返戻率は約106.3%
失業や病気・ケガなどで突然お金が必要になったときなどに解約して解約返戻金を費用に充てることができます。
- 株と同じように生命保険にも配当があります(ない保険もあります)
- 生命保険を解約すると解約返戻金が戻ります(少ないかない保険もあります)
- 急な必要資金つくりや老後資金つくりにも活用もできます