「アルツハイマー認知症」発病の25年前から進行
4大認知症
日本人に多い認知症には、以下の4種類があります。
- 25年かけてゆっくり進行し記憶力の低下する日本で一番多い「アルツハイマー病」
- 脳出血や脳梗塞などで比較的急に発症しアルツハイマーの次に多い「脳血管性認知症」
- 初期に幻想や妄想が現れるレビー小体のたまる「レビー小体型認知症」
- 感性や理性を司る前頭葉や側頭葉が萎縮し性格変化と行動異常が特徴の「前頭側頭型認知症」
認知症患者数は、年齢の増加とともに増えていきます。
- 65〜69歳の約2.9%
- 70〜74歳の約4.1%
- 75〜79歳の約13.6%
- 80〜84歳の約21.8%
- 85〜89歳の約41.4%
- 90〜94歳の約61.0%
- 95歳以上の約79.5%
アルツハイマー病のゆっくりした発病
アルツハイマー病は、脳に2種類のタンパク質がたまることで発病すると言われています。
- 25年前から異常タンパク質のアミロイドベータの蓄積
- 15年前から「神経原線維変化」と呼ばれるタウタンパク質の蓄積
- この頃から脳(海馬)萎縮が進行し10年前頃記憶力の衰える記憶障害
- 数年後、物忘れが目立ち始めると軽度認知症障害(MCI)
- 3年以内(最初から25年)約40%が日常生活機能の悪化する認知症に進行
認知症は一般に高齢で発症しますが、65歳以前に発症する若年性認知症も増加しています。
このうち、10%前後が遺伝によるアルツハイマー病です。
認知症の疑いへの対処
自身や家族に認知症の疑いがある場合には、以下の専門医のいる病院を検索して受診することがすすめられます。
- 日本認知症学会が認定する「日本認知症専門医」
- 日本老年精神医学会が認定する「日本老年精神医学会専門医」
受診すると、症状や以下の検査所見から診断が行われます。
- CT(コンピュータ断層撮影装置)検査
- MRI(磁気共鳴画像化装置)検査
- 脳血流の低下部位を調べる「脳血流SPECT検査」
- 神経心理士による神経心理検査など
認知症に有効な予防策
アルツハイマー病は異常タンパク質のアミロイドベータとタウタンパク質の蓄積など発生する原因は分かってきていますが、予防法はまだの状態です。
そのなかで、以下が有効な予防策と言われています。
- 普段の生活で頭を使う
- 週2〜3回、20分連続する有酸素運動(早めの散歩など)
認知症の以下のリスクに注意が必要です。
- 糖尿病
- 高血圧
- うつ
- 頭部の強打
- 喫煙
- 飲酒(1日平均で普通缶ビールの8分目を超える飲酒)
厚生労働者では、適度なアルコール摂取量を1日あたり20グラムとしていますが、認知症予防の観点からはその半分ぐらいでも多いくらいです。
また、両親のうちの一人に遺伝子変異があってアルツハイマー病を発病している場合は、50%の確率で子供がその原因遺伝子を受け継いでいます。
- 長生きをすると認知症はさけられないと言えます
- 認知症の予防策は確立していませんが予防に有効な生活はあります
- 自身や家族に認知症の疑いがある場合は専門医のいる病院がおすすめです