「アルツハイマー型認知症」40代から静かに進む原因と発症

 

アルツハイマー型認知症の発症進行

アルツハイマー型認知症は、脳内に「アミロイドβ」や「タウ」とよばれる有害なゴミがたまり、学習や記憶に関係するニューロンが死滅することで記憶を失ったり、思考能力が低下する病気です。
記憶だけでなく、思考能力や行動能力までもが失われ、日常の生活や活動が妨げられます。

 

患者数

厚生労働省の資料によると認知症の患者数は急増しています。

 

ゆっくりとした進行

アルツハイマー病は、40代から25年かけてゆっくりと進行します。

 

大脳の構成と役割

大脳の外側に2〜4ミリメートルの層があり、ここは約140億個のニューロンから構成される大脳皮質とよばれます。
大脳皮質は、以下の部分から構成されています。

 

前頭葉「運動のコントロール」

大脳皮質の前方に位置し、体の動きを管理する「運動野」が存在し、歩行などの運動のコントロールや理性的思考・感情をコントロールします。

 

頭頂葉「感覚情報の統合」

大脳皮質の上方に位置し、感覚情報の統合や視覚の処理に関わり物体の位置や方向などを認識します。

 

後頭葉「視覚コントロール」

大脳皮質の後方に位置し、目からの信号をコントロールする「視覚野」の大部分を占め、視覚情報が格納されます。

 

側頭葉「聴覚コントロール」

大脳皮質の側面に位置し、主に聴覚の処理に関わり、音声や文字の意味を理解する働きがあります。

 

海馬「記憶」

大脳皮質が内側に織り込まれた端に位置し、記憶に重要な役割があります。

 

ニューロンと記憶の仕組み

ニューロンは中心に細胞核があり、細胞核から枝分かれした「樹状突起」とよばれる長い「軸索」を持ち他のニューロンと接しています。
ニューロン同士は直接結びついてはいません。
シナプスと呼ばれる構造を作ることで「神経伝達物質」をやりとりして、ニューロン相互で信号の受け渡しを行なっています。
同じことを繰り返し学習するとシナプスが大きくなり信号を効率的に受け取れるようになり記憶が定着し、信号が入ってこないとシナプスが小さくなり、最後はなくなり記憶を失います。

アルツハイマー病によりニューロンが死ぬと記憶が失われます。
ニューロンは細胞分裂をしないと思われてきましたが、海馬では生涯を通じてニューロンが生み出されることがわかり、アルツハイマー病を発症しても早期であればその症状を和らげたり、元の状態に戻すことが可能と考えられています。

 

アルツハイマー型認知症の原因となる大脳に溜まるゴミ

ニューロンの成長や修復にかかわっていると考えられている細胞膜にある「アミロイド前駆体タンパク質(APP)」の働きが終わると切断され、アミロイドβとして細胞の外にゴミとして放出されます。
このゴミは脳内細胞の掃除役により排除されますが、年をとるにつれ掃除機能が落ちていき、ゴミがニューロンにまとわりつき死なせたり、シナプスの間隔に入り込み情報伝達を阻害すると考えられています。

  • アルツハイマー型認知症はアミロイドβやタウとよばれるゴミが脳にたまり発症します
  • このゴミは自然に削除されますが年をとるにつれ掃除機能が落ちゴミがたまります
  • 発症しても早期であればその症状を和らげたり、元に戻すことが可能と考えられます

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