若年性認知症「社会保障制度の利用」
障害年金
病気やケガで障害が残る場合は、公的年金加入者(原則20歳以上の全国民)に障害の状況によりますが障害年金が支給されます。
障害年金は、加入する年金制度により、以下の2種があります。
- 20歳以上全員が対象の障害基礎年金(国民年金、厚生年金加入者)
- 厚生年金加入者が対象の障害厚生年金
厚生年金加入者には、障害基礎年金と障害厚生年金の2つから支給されます。
障害の状況に応じて障害等級が認定されます。
障害等級は、最も重い障害の1級から14級まであります。
支給対象は、以下になります。
- 障害基礎年金は、1級と2級
- 障害厚生年金は、1級から3級で3級よりやや軽い障害が残る場合は障害手当金(一時金)
認知症に関わる障害の程度は、以下になります。
- 1級:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
- 2級:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
- 3級:神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
障害基礎年金
障害基礎年金の支給額と支給条件を示します。
支給額
平成29年4月分からの支給額は、以下になります(年額です)。
- 1級:779,300円*1.25+子の加算
- 2級:779,300円+子の加算
子の加算は、以下に示す金額が18歳(障害等級1・2級の障害者は20歳)になる年度の末日まで支給されます(年額です)。
- 第1子・第2子は、それぞれ224,300円
- 第3子以降は、それぞれ74,800円
支給要件
原則として、以下の場合に支給されます。
- 障害の原因に傷病の初診日に国民年金の被保険者
- 日本国内に住所があり60歳から65歳未満の間に初診日のある傷病で障害
- 障害認定日に障害等級の1級・2級に該当する障害
- 被保険者期間3分の2以上保険料を納付済みまたは保険料免除期間
国民年金の加入期間は、20歳から60歳までです。
2番目の条件は、60歳を超えて国民年金から外れても年金支給の65歳未満までは障害基礎年金の対象となることを示します。
国民年金とありますが、厚生年金も国民年金(養老基礎年金)を含み対象になります(全員が対象です)。
大学生も20歳になると国民年金に加入します(第1種被保険者)。
アルバイト収入が少ない(あるいはない)から、卒業して就職してから加入すれば良いと考えている学生も多いと思います。
しかし加入していないと、病気やケガで障害を負っても障害年金を受給できません。
「学生の保険料の納付特例」があるので、必ず手続きをしておきましょう。
学生の保険料の納付特例と若年者納付猶予制度
この制度は、学生・30歳未満の若年者本人の所得(親からの仕送は含みません。アルバイトなどの給与収入の場合約180万円ぐらいになります)が一定以下の場合に申請により保険料の納付を猶予する制度です。
申請しないと対象になりませんので、忘れずに申請しましょう。
この特例期間は、年金受給資格期間に入りますが年金額には反映されません。
年金額を増やすには、免除された保険料を後から納付する追納(10年前の分まで)が必要です。
障害厚生年金
障害厚生年金の支給額と支給条件を示します。
支給額
障害厚生年金の支給額は、以下になります。
- 1級:報酬比例の年金額*1.25+配偶者加給年金額
- 2級:報酬比例の年金額+配偶者加給年金額
- 3級:報酬比例の年金額(被保険者期間が300月未満は300月)
厚生年金は、国民年金に相当する老齢基礎年金と比例報酬部分の年金を足した額が支給され、障害年金もこれに準じて支給されます。
配偶者加給年金は、厚生年金の被保険者期間が20年以上で年金支給開始年齢(通常65歳)に達した時点で生計を維持する65歳未満の配偶者がいる場合に224、300円支給されます。
支給要件
原則として、以下の場合に支給されます。
- 障害の原因に傷病の初診日に厚生年金の被保険者
- 障害認定日に障害等級の1級・2級・3級に該当する障害
- 被保険者期間3分の2以上保険料を納付済みまたは保険料免除期間
- あるいは、初診日が65歳未満で初診日の前々月までの1年間保険料の未納がない
65歳の年金受給との関係
障害年金と年金は、2重には支給されません。
以下の組み合わせで年金支給額が大きくなる組み合わせを選択します。
- 障害基礎年金+障害厚生年金
- 老齢基礎年金+老齢厚生年金
- 障害基礎年金+老齢厚生年金
- 病気やケガで障害が残ると障害年金を受給できる可能性があります
- 若年性認知症で働けなくなると障害年金を申請しましょう
- 障害年金には障害基礎年金と障害厚生年金があります